日本外傷学会雑誌
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総説
軽症頭部外傷の診療
戸村 哲齋藤 大蔵
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2021 年 35 巻 2 号 p. 21-28

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抄録

 軽症頭部外傷は救急診療において日常的に遭遇する機会の多い傷病である. 軽症頭部外傷のほとんどのケースは短期間に軽快し回復するが, 一部に重症化してしまう症例があり注意を要する. また約半数はのちに脳震盪後症候群をきたし, 昨今注目される外傷後の高次脳機能障害など, 多くの社会問題の要因にもなっている. 本稿では, 日常診療で遭遇する機会の多い軽症頭部外傷にスポットを当て, 2019年に改訂された「頭部外傷治療・管理のガイドライン第4版」の内容を中心に, 診療において重要な項目について要点をまとめた.

 軽症頭部外傷の診療においては, 重症化の危険因子を念頭に置き, 適切に頭部CTの適応を判断し, 帰宅や入院経過観察の判断を行う. 脳震盪後症候群や外傷後の高次脳機能障害の可能性も考慮し, 初療において詳細に診療録を記載することがきわめて重要である.

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© 2021 一般社団法人 日本外傷学会
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