日本外傷学会雑誌
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35 巻, 2 号
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総説
  • 戸村 哲, 齋藤 大蔵
    原稿種別: 総説
    2021 年 35 巻 2 号 p. 21-28
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/05/12
    ジャーナル フリー

     軽症頭部外傷は救急診療において日常的に遭遇する機会の多い傷病である. 軽症頭部外傷のほとんどのケースは短期間に軽快し回復するが, 一部に重症化してしまう症例があり注意を要する. また約半数はのちに脳震盪後症候群をきたし, 昨今注目される外傷後の高次脳機能障害など, 多くの社会問題の要因にもなっている. 本稿では, 日常診療で遭遇する機会の多い軽症頭部外傷にスポットを当て, 2019年に改訂された「頭部外傷治療・管理のガイドライン第4版」の内容を中心に, 診療において重要な項目について要点をまとめた.

     軽症頭部外傷の診療においては, 重症化の危険因子を念頭に置き, 適切に頭部CTの適応を判断し, 帰宅や入院経過観察の判断を行う. 脳震盪後症候群や外傷後の高次脳機能障害の可能性も考慮し, 初療において詳細に診療録を記載することがきわめて重要である.

  • 堀口 明男, 新地 祐介, 齋藤 大蔵
    原稿種別: 総説
    2021 年 35 巻 2 号 p. 29-37
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/05/12
    ジャーナル フリー

     男性の尿道外傷は骨盤骨折にしばしば合併し, 膜様部尿道が球部尿道との接合部である尿生殖隔膜から引き抜かれて損傷する. 外尿道口からの出血, 排尿困難や尿閉による下腹部の膨隆, 会陰部の血腫などは尿道外傷を疑う症状であり, 速やかに尿のドレナージルートを確保する. 循環動態が不安定な患者に対してはベッドサイドで一度だけ尿道カテーテル留置を試み, 挿入できなければ速やかに膀胱瘻 (suprapubic tube, SPT) を造設する. 循環動態が安定している患者では, まず逆行性尿道造影で損傷の有無や程度を確認する. SPTではなくprimary realignment (PR) による尿道カテーテル留置を選択してもよいが, たとえ成功しても外傷後1年以内に尿道狭窄を続発する可能性が高い. 尿道狭窄に対する最も有効な治療は尿道形成術 (狭窄部切除・尿道端々吻合術) であり, 外傷後の炎症や感染が沈静化するまで3~6ヵ月待機してから行う. 本稿では男性の尿道外傷のマネジメントについて解説する.

第35回日本外傷学会総会・学術集会 抄録
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