日本外傷学会雑誌
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総説
骨盤骨折にともなう男性尿道外傷のマネジメント
堀口 明男新地 祐介齋藤 大蔵
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2021 年 35 巻 2 号 p. 29-37

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抄録

 男性の尿道外傷は骨盤骨折にしばしば合併し, 膜様部尿道が球部尿道との接合部である尿生殖隔膜から引き抜かれて損傷する. 外尿道口からの出血, 排尿困難や尿閉による下腹部の膨隆, 会陰部の血腫などは尿道外傷を疑う症状であり, 速やかに尿のドレナージルートを確保する. 循環動態が不安定な患者に対してはベッドサイドで一度だけ尿道カテーテル留置を試み, 挿入できなければ速やかに膀胱瘻 (suprapubic tube, SPT) を造設する. 循環動態が安定している患者では, まず逆行性尿道造影で損傷の有無や程度を確認する. SPTではなくprimary realignment (PR) による尿道カテーテル留置を選択してもよいが, たとえ成功しても外傷後1年以内に尿道狭窄を続発する可能性が高い. 尿道狭窄に対する最も有効な治療は尿道形成術 (狭窄部切除・尿道端々吻合術) であり, 外傷後の炎症や感染が沈静化するまで3~6ヵ月待機してから行う. 本稿では男性の尿道外傷のマネジメントについて解説する.

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© 2021 一般社団法人 日本外傷学会
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