日本外傷学会雑誌
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臨床検討
体幹部大量皮下出血に対しTAEで止血を行った症例の検討
佐藤 啓太浦城 淳二
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2022 年 36 巻 3 号 p. 276-279

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抄録

 非常に低いエネルギーの外力を契機として, 出血性ショックや凝固障害に至る症例を時に経験する. 自然止血が得られず, 止血術が必要な体幹部皮下出血を大量皮下出血と定義し, 症例の背景や, 臨床経過について検討を行った. 2019年から2020年の1年間の当院で経験した8症例を後方視的に検討した. 圧迫止血にもかかわらず, 6例がショック状態であり, 6例に輸血を必要とした. 血液透析や抗凝固, 抗血小板剤の内服歴は大量皮下血腫のハイリスクとなる可能性が示唆された. 全例, transcatheter arterial embolization (TAE) によって止血が得られた. 圧迫しやすい四肢と異なり, 体幹部では血腫が同心円状に増大し, 出血点に十分な圧迫が加わらず, 結果として大量出血をきたす. 来院時点で造影剤の血管外漏出像である場合には積極的な止血を検討すべきである.

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© 2022 一般社団法人 日本外傷学会
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