日本外傷学会雑誌
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症例報告
Non-operative management中に, 軽微な外傷で増悪したavulsion型外傷性胆嚢損傷
神鳥 研二石井 亘飯塚 亮二
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2023 年 37 巻 1 号 p. 9-15

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抄録

 外傷性胆嚢損傷のうち胆嚢が肝床から剥離するavulsionの多くで手術が行われるが, non-operative management (NOM) の報告もある. 今回, avulsionの胆嚢損傷に対して, NOMで軽快したものの, 転倒で損傷が増悪, 緊急手術を要した症例を経験した. アルコール性肝硬変の42歳男性が階段転落し当院へ救急搬入となり, 外傷性胆嚢損傷 (avulsion, contusion) と診断, NOMとした. 経過良好であったが第11病日に転倒, ショック状態となり, 胆嚢穿孔破裂と診断, 緊急開腹止血術を行った. 肝床からの胆嚢剥離部は大きく穿孔していた. 術後経過良好で入院34日目に自宅退院とした. Avulsionの外傷性胆嚢損傷は軽快傾向でも軽微な外傷で損傷が増悪する可能性があり, 待機的手術も念頭に厳重な管理が必要である.

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© 2023 一般社団法人 日本外傷学会
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