日本外傷学会雑誌
Online ISSN : 2188-0190
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ISSN-L : 1340-6264
37 巻, 1 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
臨床検討
  • 谷河 篤, 匂坂 量, 比良 英司, 福間 博, 松岡 哲也, 横堀 將司, 上路 健介
    原稿種別: 臨床検討
    2023 年 37 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2023/01/20
    公開日: 2023/01/20
    [早期公開] 公開日: 2022/11/25
    ジャーナル フリー

     【はじめに】近年, Virtual reality (VR) を用いた医学教育の学習効果が期待されている. 【目的】外傷診療におけるVR教育のニーズや課題を探索する. 【方法】第36回日本外傷学会総会・学術集会イブニングセミナー (2022年6月30日) にて3施設からのVRを用いた外傷診療に関する講義を行い, アンケート調査を実施した. 対象は医師とし, 所属施設別と年代別で検討した. 【結果】セミナー参加者は102名, 医師からの有効回答数は79であった. 治療手技に焦点を当てたコンテンツが79名中32名 (40.5%) と最もニーズはあったが, 大学病院所属者からのニーズは30名中8名 (26.7%) と少なかった. VR動画の編集時間に関しては, 所属施設や年代に関係なく作業時間がとれないまたは作業時間がとれても週に2時間未満という回答が約60%であった. 【結論】治療手技のニーズは全体では高いが, 所属施設別での検討では異なった. VR教育への期待は高いが, VRの編集時間の確保が課題となった.

症例報告
  • 神鳥 研二, 石井 亘, 飯塚 亮二
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 37 巻 1 号 p. 9-15
    発行日: 2023/01/20
    公開日: 2023/01/20
    [早期公開] 公開日: 2022/10/25
    ジャーナル フリー

     外傷性胆嚢損傷のうち胆嚢が肝床から剥離するavulsionの多くで手術が行われるが, non-operative management (NOM) の報告もある. 今回, avulsionの胆嚢損傷に対して, NOMで軽快したものの, 転倒で損傷が増悪, 緊急手術を要した症例を経験した. アルコール性肝硬変の42歳男性が階段転落し当院へ救急搬入となり, 外傷性胆嚢損傷 (avulsion, contusion) と診断, NOMとした. 経過良好であったが第11病日に転倒, ショック状態となり, 胆嚢穿孔破裂と診断, 緊急開腹止血術を行った. 肝床からの胆嚢剥離部は大きく穿孔していた. 術後経過良好で入院34日目に自宅退院とした. Avulsionの外傷性胆嚢損傷は軽快傾向でも軽微な外傷で損傷が増悪する可能性があり, 待機的手術も念頭に厳重な管理が必要である.

  • 大倉 淑寛
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 37 巻 1 号 p. 16-20
    発行日: 2023/01/20
    公開日: 2023/01/20
    [早期公開] 公開日: 2023/01/06
    ジャーナル フリー

     外傷性肝損傷 I a型は保存的加療が行われることが多く, 合併症が生じることも少ない. 安静による保存的加療を行ったが, その後急速に肝被膜下血腫が形成され, 肝コンパートメント症候群を発症した症例を経験した. 症例は21歳男性. 走行中の乗用車と衝突し受傷した. 体幹部造影CT検査で肝右葉に I a型の肝損傷を認め, 安静による保存的加療を行ったが, 右上腹部痛が出現し再度CT検査を施行した. 急速な肝被膜下血腫の増大を認め, 血管塞栓術を施行した. 肝コンパートメント症候群を発症したが, その他の合併症は生じず退院となった. 軽度な肝損傷においても後に急速に肝被膜下血腫が出現する可能性があり, 注意深い観察が必要である.

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