2023 年 37 巻 3 号 p. 313-318
50歳台の男性. バイク走行中に対向車の荷台に積載していた鉄パイプで腹部を受傷し, 救急搬送された. X線で大量血胸, focused assessment with sonography for trauma (FAST) 陽性を認め, ショック状態だった. 胸腔ドレナージ後に造影CT施行し, 受傷2時間30分後に手術室に入室した. 術前状態を考慮し, 外傷性膵頭十二指腸損傷, 横行結腸間膜裂傷に対して膵頭十二指腸切除術, 横行結腸部分切除術を施行し, 術後22時間に再建術を施行した. gradeA膵液瘻や腹腔内膿瘍を認めたが, 重篤な合併症は認めなかった. 外傷性膵十二指腸損傷で膵頭十二指腸切除術を施行する場合は, 術前の全身状態の程度や他臓器損傷合併の有無などによっては二期的手術も検討し, 再建時期は状況に応じて早期から晩期まで考慮する必要がある.