日本外傷学会雑誌
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症例報告
肋骨骨折端によって遅発性に気胸を繰り返した胸部外傷の1手術例
荒木 貴代佐藤 敏川上 哲史岡本 果南小幡 弓真近藤 剛規高島 幹展真田 祥太朗村上 弘城出口 智宙高瀬 恒信
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2023 年 37 巻 4 号 p. 380-385

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抄録

 肋骨骨折端によって遅発性に気胸を繰り返した胸部外傷の1手術例を経験したので報告する. 症例は38歳男性. 転落事故による右第7-11肋骨骨折で安静入院した. 肝損傷, 右副腎損傷は保存的に軽快したが, 第9病日, 遅発性に右気胸を生じ胸腔ドレナージを要した. 気胸は改善し外来通院していたが, 第75病日, 第97病日と右気胸を繰り返した. 右第9肋骨骨折端による肺損傷・気胸と判断し, 第111病日に胸腔鏡補助下肋骨骨折端摘除術を行った. 下位・浮肋骨骨折では, 肋骨骨折端が(1)鋭利な形状, (2)胸腔内臓器と接する, (3)胸壁接線に対する鋭角が25度以上である場合は, 予防的摘除を含めた積極的治療を考慮してもよい.

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© 2023 一般社団法人 日本外傷学会
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