2023 年 37 巻 4 号 p. 376-379
神経学的後遺症なく経過した外傷性環椎後頭骨脱臼の1例を報告する. 20歳代男性, 頭部右側から重機が直撃し受傷した. 右側頭部痛と頚部痛の訴え及び右外耳道出血があったが, 神経学的異常所見はなかった. 環椎後頭骨脱臼と診断し, ハローベスト装着の後, 自発呼吸温存下に気管挿管した. 後頭骨-C2/3固定術の後, 神経学的後遺症なく転院した. 外傷性環椎後頭骨脱臼は診断遅延により神経学的な予後が悪化する. CTで軟部組織の腫脹や頭蓋頚椎移行部のくも膜下出血があれば環椎後頭骨脱臼を疑う. 本症例は, 早期診断と適切な外固定及び気道確保が神経学的良好な転機に寄与したと考える.