日本外傷学会雑誌
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症例報告
ドクターヘリ搬送によるトラウマバイパスを用いず直近2次救急病院での初期診療を選択し救命しえた重症多発外傷の1例
宮里 実幸紺野 晴矢堀内 朱音渡邉 紀博新田 正和
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2024 年 38 巻 3 号 p. 472-477

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抄録

 79歳, 女性. 歩行中に乗用車と衝突した. 救急隊接触時, 右前胸部の変形と呼吸不全を認めた. ドクターヘリでのトラウマバイパスも考慮されたが, 2次病院ではあるが直近の当院に陸路搬送となった. 来院時, 重度のショックであり, フレイルチェスト, 腹壁損傷, 不安定型骨盤骨折を合併していた. 両側胸腔ドレーン留置, 気管挿管, 骨盤創外固定, 後腹膜ガーゼパッキングを行い, 昇圧や人工呼吸管理などの初期集学的治療を行った後に速やかにドクターヘリで3次病院へ転院となった. 本症例はドクターヘリと比して人員, ワーキングスペース, 医療資機材に優れている病院での初療を選択し, その後ドクターヘリと連携したことで救命しえた.

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© 2024 一般社団法人 日本外傷学会
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