日本外傷学会雑誌
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特集:第37回日本外傷学会総会・学術集会 教育講演
頸部の膜解剖と外科的気管切開術 : 適応, 時期, 当院における電気メスを用いない3分手術
金子 直之
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2024 年 38 巻 3 号 p. 413-422

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抄録

 本稿では頸部の膜解剖を紹介し, われわれが行っている外科的気管切開術の適応とタイミング, 具体的な手順を供覧する. 頸部の様々な手術を正確・安全・迅速かつclear-cutに行うには系統だった膜の理解が重要であり, 外傷も例外ではない. 外科的気管切開術はその基本ともいえる手技であり, 膜を意識して手術を進めることで, 電気メスを用いずに鋭的切離のみで無出血・短時間の手術を完遂でき, われわれは3分間を目標としている. 皮膚切開後に気管に到達するまでに7枚の膜を操作する必要があるが, 中でも気管前被膜 (pretracheal fascia) が重要である. これを適切に処理することで甲状腺を安全に頭側に圧排でき, 甲状腺離断を要さずに下気管切開術が可能になる.

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