日本外傷学会雑誌
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エアバッグとシートベルトによる胸部への外力で発生した大動脈原性多発塞栓症の一例
藤森 大輔本村 友一山本 晃之原 義明西本 哲也高橋 希柄澤 智史高橋 功
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論文ID: 36.3_06

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抄録

 74歳男性. シートベルトを着用し軽乗用車運転中に意識を失い前方の車両に追突し, フロントエアバッグが作動した. ドクターヘリで当院へ搬送され, CT検査で胸骨骨折・内胸動脈損傷・多発腰椎圧迫骨折の診断となり, 経カテーテル的内胸動脈塞栓術を施行した. 入院後より経時的に血中CPK値が上昇し, 代謝性アシドーシスと高乳酸血症も進行した後, 心停止・自己心拍再開を経て腸管虚血に至り, 第4病日に死亡した. 経過中のCT検査より胸部大動脈原性の両下肢の筋梗塞を含む多発塞栓症が疑われた. 安全装置であるエアバッグとシートベルトによる鈍的胸部外傷に起因した二次的な大動脈原性塞栓症で広範な筋梗塞を認めた例は稀有であり報告する.

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