日本外傷学会雑誌
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マネージメントに苦慮した外傷性腹部コンパートメント症候群の1例
津谷 明香里大村 範幸湯本 聡大高 葵中島 発史中畑 潤一藤田 康雄
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ジャーナル フリー 早期公開

論文ID: 36.3_12

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抄録

 症例は64歳男性. トラック同士の交通事故により, いわゆるOpen book typeの右骨盤骨折と両側下肢の多発開放骨折を受傷した. 先行した下肢創外固定手術中にabdominal compartment syndrome (以下ACS) を発症した. Open abdomen management (以下OAM) にて循環呼吸動態は安定したものの, 第2病日に閉腹したところACSを再発した. 第4病日に再開腹し, 第11病日に根治的閉腹術を行い, その後はACSの再発や合併症は認めず第81病日に退院となっている. 腹腔内圧測定の開始が遅れたこと, またOAMの適切な終了時期について確立した理論がないことにより, ACSの診断やOAMの方針について医療スタッフ内での統一したコンセンサスが得られず, そのマネージメントに苦慮した症例であった.

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