論文ID: 36.4_06
大腸外科領域で術中の腸管血流評価方法としてIndocyanine green (以下ICG) 蛍光法が注目されているが外傷領域で用いられた報告例はまだ少ない. 我々は鈍的外傷による外傷性消化管損傷における腸管切除範囲決定に術中ICG蛍光法が有用であった症例を経験した. 症例は37歳, 男性. 約3mの高さから墜落し受傷した. 当院病着後の造影CTにて腹腔内出血, 腸間膜損傷を認め緊急開腹術を施行した. 循環動態が安定していたため, 一期的腸管吻合の方針とした. 術中ICG蛍光法を用いて腸管血流を評価したうえで結腸切除範囲を決定し, 縫合不全のリスクを回避した. 術後は合併症なく良好に経過し退院となった. 外傷症例においてもその評価方法が有用であることが示唆された.