本稿では、行動経済学と変化抵抗の関係が概観される。需要弾力性が変化抵抗の観点から、変化抵抗が需要弾力性の観点から再分析され、需要曲線と変化抵抗から得られる関数の形状が類似していることが示された。開放・封鎖経済において変化抵抗を比較した研究では一貫した違いが見いだせなかったが、この研究は手続き上のいくつかの問題点のため、再検討が必要であろう。労働供給との関係では、価格変化のもとでの反応の減少によって表現される代替効果が変化抵抗の観点から再分析され、所得に対する余暇の代替性が高い場合、反応の変化抵抗は弱いことが示された。これらの分析は行動経済学と変化抵抗のアプローチが一致していることを示唆するものである。