行動分析学研究
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ゲーム事態と選択行動研究(<特集>行動経済学の現在)
神谷 直樹坂上 貴之
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2002 年 16 巻 2 号 p. 170-184

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抄録

選択行動研究における伝統的な実験手続き、および近年の実験手続きは、いくつかの制約を研究に与えてきた。この制約は3点に分類される。すなわち、選択肢および選択行動の静的性質、選択行動の制御変数としての強化子や強化スケジュールの偏重、選択行動における規則的あるいは系列的変動の軽視である。このような制約を克服できる可能性のある、現在までに試みられてきた研究を検討した上で、2種類の弁別刺激(予告刺激と通告刺激)と2種類の反応(選択反応と遂行反応)から構成される予測ゲーム課題を提案した。予測ゲーム課題における行動を分析できる規範理論としてのゲーム理論を簡単に紹介した後、この理論の5つのコンポーネント(プレーヤー;利得行列;手、手番と方略;初期条件;プレー手順)と実際の実験手続きの要素とを対応させて議論する。その結果、予測ゲーム課題は本論で挙げられた現在までの選択行動研究における問題点に答えることができるだけでなく、広範囲の実験手続きを内包しうる適切な方法の1つであると結論された。

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© 2002 一般社団法人 日本行動分析学会
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