抄録
研究目的:本研究では小学1年生の学習時における姿勢改善のため行動的なアプローチを用いた介入パッケージを実施し、その効果を検証することを目的とした。研究計画:ベースライン、介入1、介入2、フォローアップからなるABCAデザインを3学級に繰り返し実施した。また、介入効果の般化検証のためマルチ・プローブ・テクニックを応用した。場面:公立小学校第1学年の通常学級3学級において実施した。被験者:通常学級の小学1年生76名に対して介入を行った。独立変数の操作:教示・モデリング・行動リハーサル・強化・フィードバックの行動的手続きを用いた姿勢改善のための介入パッケージの実施を独立変数とした。行動の指標:学習時の座位の姿勢について、背中が伸びている、おしりが座部について座っている、足は前で床についている、体は前を向いているという条件を満たすものを正しい姿勢と定義し、各学級で4条件の少なくとも一つを満たしていない児童の数を「姿勢が崩れた児童数」とした。結果:介入場面と介入場面以外の授業場面においてベースライン期よりも介入期に姿勢が崩れた児童数が減少していた。しかし数名の児童には訓練効果が見られなかった。結論:本研究で実施した介入パッケージは学習時の姿勢改善に効果が見られ、また効果は介入場面以外の授業場面にも般化していた。介入効果が見られなかった数名の児童には個別指導など別の介入プログラムの必要性が示唆された。