行動分析学研究
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遅延による価値割引の枠組みを用いた就学前児の自己制御に関する実験的検討
空間 美智子伊藤 正人佐伯 大輔
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2007 年 20 巻 2 号 p. 101-108

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抄録

研究の目的 : 就学前足の自己制御の発達について、遅延による価値割引の枠組みを用いて、定量的な分析を試みた。研究計画 : 被験児は、並立連鎖スケジュールにもとづく同時選択手続きにおいて、10秒の遅延後に12枚のアニメキャラクター画像が呈示される標準選択肢と、1秒の遅延後にX枚のアニメキャラクター画像が呈示される調整選択肢間の選択を行った。調整選択肢の強化量は1枚から開始し、調整量手続きにより試行毎に変化した。調整選択肢の強化量は、前試行で標準選択肢が選択された場合は1枚増加し、調整選択肢が選択された場合は1枚減少した。このような選択を20試行終了した時点でのXの値を10秒後の12枚と主観的に等価な1秒後の強化量(等価点)とした。場面 : 保育園の一室で行われた。被験児 : 4歳の保育園児9名(男児5名、女児4名)、6歳の保育園足10名(男児5名、女児5名)を対象とした。行動の指標 : 被験児の選択にもとづく等価点を行動の指標とした。結果 : 等価点は6歳児の方が4歳児よりも有意に高かった。結論 : 就学前児の自己制御の発達に関する研究において、価値割引の枠組みを用いた定量的な分析が可能であることを示唆している。

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© 2007 一般社団法人 日本行動分析学会
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