抄録
研究の目的 : 小学4年生児童において、授業開始・終了時の挨拶行動の変容のために、折れ級グラフによる遂行フィードバックを導入し、その効果を検討することを目的とした。研究計画 : ベースライン、口頭によるフィードバック、折れ線グラフによるフィードバックからなるフォローアップ付きのABCデザインを用いた。場面 : 公立小学校第4学年通常学級。対象者 : 小学校4年生23名。介入 : 口頭でのフィードバックのフェイズでは、担任教師が授業開始・終了時に挨拶するまでに要した時間を即座に口頭でフィードバックした。グラフによるフィードバックのフェイズでは、教師は帰りの会にその日の平均タイムを折れ線グラフに記録して、それを児童たちに見せた。行動の指標 : 日直の号令からすべての児童が静かになるまでの時間。結果 : グラフによる遂行フィードバックは、児童が静かになるまでに必要な時間を短くするのに効果的であった。その結果は、フォローアップのフェイズにおいても維持した。結論 : 本研究の結果は、折れ線グラフによる遂行フィードバック手続きが、日本の通常学級の学級経営に適用可能であることを示した。