行動分析学研究
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障害者の自立支援にのぞむこと(<特集>エビデンスに基づいた発達障害支援の最先端)
浅野 俊夫
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2009 年 23 巻 1 号 p. 82-84

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抄録
出版された研究論文のメタアナリシスだけでは群間比較によるRCT(無作為対照化)に変わるほどの検証力をもてない。なぜなら、論文として投稿され受理された報告のメタアナリシスでは成功例に偏りすぎているという批判がRCT論者から提起されるであろう。実践家からアセスメント方法や介入方法について負事例も含めた事例毎の定式化された簡単な報告を集めてデータベース化し、定期的に統計を公表する活動が必要である。また、福祉行政において"個別支援計画による個々人のニーズにあった支援"を行うには障害の種別ではなく、個人別の教育・福祉支援歴を含むプロファイルを整備する必要がある。夏期のキャンパスを利用して行動改善プログラムのキャンプを提供するという試みは大学などの地域貢献活動と位置づければ協力が得やすい。障害者の就労支援なしには自立支援は達成できない。ジョブコーチの育成が急務である。障害者を持つ多くの親達が今、親亡き後の我が子の生活に不安をもっており、地域による総合支援の設計と実施が急がれているので行動分析をもっと利用してもらいたい。
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© 2009 一般社団法人 日本行動分析学会
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