行動分析学研究
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発達障害児者の行動問題に対する代替行動の形成に関する文献的検討
村本 浄司園山 繁樹
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2009 年 23 巻 2 号 p. 126-142

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抄録

本論文では、行動問題を示す発達障害児者に対して、機能的コミュニケーション訓練(FCT)を中心とした代替行動の形成に関する研究を概観し、その技法と理論の発展の過程を明らかにし、さらに最近の機能的コミュニケーション訓練と代替行動研究の動向、および我が国における課題を検討することを目的とした。1980年代に機能的分析に基づいた介入が開発され、その後20年にわたり行動の機能に基づいた介入法は、積極的行動支援による包括的支援の重要な要素となった。特に、FCTは、行動問題を示す発達障害児者の代替行動の獲得や周囲の援助者たちにとって扱いやすい援助技法にするためにさらなる研究がなされていった。その後、この支援法は機能的アセスメントや先行子操作を含めた包括的な支援法の一部分を担うようになった。今後の課題として、代替行動から望ましい行動への転換や環境調整を含めた包括的なFCTを、発達障害児者の日常場面に普及させる必要性を指摘した。

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© 2009 一般社団法人 日本行動分析学会
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