抄録
研究の目的自閉症傾向のみられる発達障害児を対象に、刺激等価性の枠組みを用いて、5種の感情(うれしい・たのしい・かなしい・おこる・こわい)に関わる言語行動を効率的に指導できるかどうか検討した。研究計画「おこる」「こわい」を第1刺激クラスセット、「うれしい」「たのしい」「かなしい」を第2刺激クラスセットとして、刺激クラスセット間の多層プローブデザインを適用した。場面小学校の教室で授業時間および放課後を使って指導を実施した。参加者障害児学級に在籍する、自閉症の傾向を持った2名の9歳男児が参加した。介入各感情に対応する状況文を提示して「どんな気持ち?」と質問し、感情語で回答させ、正答を言語称賛により強化した。行動の指標感情語報告の正反応率に加え、感情語、状況文、表情画間の等価関係を指導の前後で測定した。結果訓練による感情語報告の正反応率の上昇、新奇の状況文を使った般化課題における正反応率の上昇、刺激等価性テスト課題の正反応率の上昇が見られた。結論刺激等価性の枠組みを用いることによって、感情語の指導を効率的に進められる可能性が示された。