行動分析学研究
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自閉症児における自己および他者視点の左右弁別の形成 : 高次条件性弁別による分析と視点般化の検討
奥山 高光井澤 信三
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2010 年 24 巻 2 号 p. 2-16

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抄録

研究の目的 自閉症児における自己および他者視点の左右弁別の成立を目的とした。研究1では、対象児の左右弁別と対面に座っているトレーナーの左右弁別を指導した。研究2では、対象児と同じ視点になる人形とトレーナーと同じ視点になる人形を用いて、成立した弁別の般化について検討した。研究計画 対象児間多層ベースラインデザインを用いた。場面 大学における個別指導。対象児 8歳の自閉症女児2名を対象とした。独立変数の操作 研究1では、対象児とトレーナーの視点から同じになる位置(例えば、右)を選択することを指導した。その後、両者の視点から両方の位置(右および左)を選択することを指導した。研究2では、対象児とトレーナーの位置に置いた人形を用いて、同様の弁別を指導した。行動の指標 選択反応における正反応率とした。結果研究1において、対象児とトレーナーの視点における左右弁別が成立した。研究2において、1名の対象児(P1)はプロンプトを提示した際に、人形視点の左右を弁別することが可能となった。別の対象児(P2)は人形視点の左右弁別の指導を加えて行い、左右を弁別することが可能となった。2名の対象児とも、この基準を達成した後、新奇な人形において般化を示した。結論 他者視点から位置の弁別が成立するためには、位置と視点の両方を弁別刺激とする高次条件性弁別の指導が必要であった。般化のためには、対象児と人形が同じになるという文脈刺激の機能化が考えられた。

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© 2010 一般社団法人 日本行動分析学会
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