行動分析学研究
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実践報告
痙攣性発声障害と診断された男性の日常生活における行動アセスメント
仁藤 二郎奥田 健次
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2016 年 31 巻 1 号 p. 40-47

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抄録

研究の目的 本研究では、「人前でうまく話せない」と訴えて精神科クリニックを受診したクライエントに対して、日常場面における生活上の行動アセスメントを行い、アセスメントに基づく支援を検討することを目的とした。場面 精神科クリニックの面接室にて心理面接を実施し、行動アセスメントとしてホームワークをクライエントの自宅にて実施した。対象者 クライエントは過去に痙攣性発声障害と診断された24歳の男性であった。介入 クライエントがホームワークとして地域の店に電話をして、あらかじめ決めておいた質問をすること、およびその様子をICレコーダーに録音するという内容の行動アセスメントを実施した。行動の指標 クライエントが電話で質問をすることができるか、その質問に対する答えが得られるかどうかを正反応の基準として、一週間ごとの正反応率を指標とした。結果 行動アセスメントを実施した結果、すべてのフェイズにおいて100%の正反応率を示した。クライエントは「実際にはできている(話せている)」と発言するようになり、それまでは避けていた種類の仕事に就くことができた。結論 精神科外来においてはクライエントの日常における客観的な測定が困難とされているが、本研究においてはそれが可能であり、かつクライエントの主訴を解消することができた。

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© 2016 一般社団法人 日本行動分析学会
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