2018 年 33 巻 1 号 p. 12-23
研究の目的 相互依存型集団随伴性を適用した協同学習による学業達成を目指して、生徒のかかわりを促進する条件を検討した。研究計画 生徒2名による参加者間多層ベースラインデザイン法を用いた。場面 定時制高校の数学の授業で行われた。参加者 軽度知的障害、及び自閉症スペクトラム障害と診断された生徒2名が参加した。独立変数の操作 個別学習条件、相互依存型集団随伴性を適用した協同学習条件、役割付与のルールを加えた相互依存型集団随伴性による協同学習条件、の各条件を適用した。行動の指標 問題演習時の生徒のかかわり行動の観察、出題された課題の達成の割合を指標とした。結果 知的障害のある生徒は、相互依存型集団随伴性を適用した協同学習条件、役割付与のルールを加えた相互依存型集団随伴性による協同学習条件において、かかわり行動を生起し、課題達成の割合を増加させた。自閉症スペクトラム障害のある生徒は、役割付与のルールを加えた相互依存型集団随伴性による協同学習条件においてのみ、非言語的なかかわり行動を生起し、課題達成の割合を増加させた。結論 生徒に相互依存型集団随伴性による協同学習を適用し、かかわり行動を伴って課題達成へと導くためには、役割付与のルールが効果を伴うことが考えられた。