本研究では、本邦で公表された行動問題に対する機能的アセスメントの指導・支援に関する研究において、支援効果が高い場合における専門家と支援環境にある人々との協働について分析し、本邦における機能的アセスメント研究に関する今後の課題を示すことを目的とした。本邦において2000年から2013年までに公表された行動問題に対する機能的アセスメントに関する研究論文36編を対象に、「対象児者のプロフィール」及び、「実態把握」「目標の設定」「指導・支援計画の立案」の3段階それぞれにおける関係者の分類・分析などを行った。その結果、小笠原・朝倉・末永(2004)の効果量により支援効果が高いと評価された研究は23編、支援効果が低いと評価された研究は13編であった。支援効果が高い研究の特徴として、専門家と支援環境にある人々が「実態把握」から「指導・支援計画の立案」までのすべての段階に協働で関与、あるいは、「実態把握」及び「目標の設定」の段階に協働で関与している傾向が見られた。特に、「目標の設定」の段階において、専門家が支援環境にある人々と協働で関与した研究では、専門家が単独で関与した時に比べて支援効果が高い研究の割合が多かった。今後の課題として、目標の設定における支援環境にある人々の支援ニーズを反映する協議方法の検討、支援環境にある人々との協働の具体的方法の検討、支援環境にある人々による指導・支援計画の実行度を高める条件の検討の3点が指摘できた。