行動分析学研究
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研究報告
じゃんけんの手を弁別刺激とした勝敗判断の刺激性制御――三すくみの手の同時提示がスケジュール感受性に及ぼす影響――
髙野 愛子
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2021 年 36 巻 1 号 p. 2-11

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抄録

研究の目的 本研究ではじゃんけんの手に対する勝敗判断課題を用いて、勝敗の判断基準に関する言語教示を与えることなく、伸ばされた指の本数がより多い手を勝ちとする勝敗判断を形成することを通じて、通常のじゃんけんに応じた勝敗判断を維持する強力な刺激性制御を減衰させる変数を探索した。研究計画 提示された2つ、または3つの手から勝ちまたは負けとなる手を選択する課題を用いた。訓練中の反応、および訓練前後に実施したテストにおける反応から訓練の効果を検討した。場面 個別実験として実施し、ノートパソコンを用いた。参加者 大学生8名が参加した。独立変数の操作 3つのじゃんけんの手のうち異なる2つが提示される二択条件と、これら3つ全てが提示される三択条件を導入した。行動の指標 1試行で提示された手のうち、伸ばされた指の本数がより(最も)多い手を勝ち、少ない手を負けとする反応を正反応と定義し、正反応率を測定した。結果 二択条件において、三択条件の導入前は正誤のフィードバックを提示しても正反応率の上昇が見られないか、一度上昇してもテストでは維持されず下降した。一方、三択条件の導入後は正反応率が上昇し、テストにおいても高水準で維持された。結論 じゃんけんに応じた勝敗判断を維持する刺激性制御は強固であるが、3つのじゃんけんの手から勝ちまたは負けの手を1つだけ選択する課題を提示することで、その制御が減衰することが示唆された。

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© 2021 一般社団法人 日本行動分析学会
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