行動分析学研究
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解説
オペラント実験箱(スキナーボックス)の進化――制御の自動化とオペランダムの開発の歴史――
眞邉 一近
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2023 年 37 巻 2 号 p. 216-234

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抄録

行動分析学の基礎分野である実験的行動分析学は、環境要因と行動との関数関係を分析するために、三項随伴性を実験的に操作し、行動の測定を行う。実験室場面で三項随伴性をより統制された状態で実現することが、実験的行動分析学の基本であり、その研究ツールは、三項に対応した弁別体-操作体(オペランダム)-強化子提示装置から構成されるオペラント実験箱(通称スキナーボックス)である。スキナーボックスの制御は、機械的なメカニズムによる反応の検出と自動強化から始まり、電子化、そしてコンピュータ制御へと進化してきた。また、自動的な計測・検知を可能にする新たなテクノロジーを導入しながら、様々な反応トポグラフィーの検討ができるように進化し続けている。これまで、高価なシステムを必要としていた実験が、テクノロジーの発展に伴って安価なシステムで実現できるようになり、より詳細に動物の活動を検出することが出来るようになっている。さらに、テクノロジーの進歩によって検討できる命題もより深化してきた。これらの技術革新は、スキナーの最初の実験箱で始められた行動科学をさらに進展させている。本論文では、スキナーボックスの制御の自動化の歴史と、スキナーの「ハト計画」や「ORCON計画」で開発された装置と、戦後の装置の発展とのつながりや、リアルタイム画像処理やリアルタイム音声認識技術の導入事例を示しながら、スキナーボックスの進化について解説する。最後に、3Dプリンターを用いた装置作成技術の進歩についても紹介する。

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© 2023 一般社団法人 日本行動分析学会
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