2025 年 39 巻 2 号 p. 84-92
研究の目的 恐怖症状のエクスポージャー(曝露)法による治療の2技法(短時間多数回曝露法と長時間少数回曝露法)の有効性を、動物モデルにより実験的に比較することを目的とした。研究計画 短時間多数回呈示条件と長時間少数回呈示条件を、個体内計画で比較した。場面 1日1セッション5分間の摂水反応を水なめ回数として測定可能な実験装置内で実施した。被験体 22時間の水剥奪下にある7匹の雄性Wistar系ラットを使用した。独立変数の操作 2種類の純音刺激10秒(高純音と低純音)のそれぞれを電撃と対呈示した後、消去訓練を実施した。消去時の呈示時間と1セッション内での呈示回数は、短時間多数回(5秒×4回)呈示か長時間少数回(20秒×1回)呈示のいずれかとし、2種類の純音刺激に割り当てた。消去処置後テストの際の純音刺激の呈示時間は10秒であった。行動の指標 摂水反応(水なめ回数)を電気回路によって記録し、純音刺激によって生じる摂水反応の低下を抑制率により測定し、これを「恐怖」とした。結果 短時間多数回呈示による消去処置を行っていた純音刺激のほうが、長時間少数回呈示による消去処置を行っていた純音刺激よりも、消去処置後に喚起する恐怖は小さかった。結論 恐怖症状をエクスポージャー法により治療する際は、短時間多数回曝露のほうが長時間少数回曝露よりも望ましいと考えられる。