1995 年 8 巻 1 号 p. 12-21
本研究は、教師が、ごくわずかなひとり遊びしかしない重度の知的障害を持つ養護学校小学部1年の生徒を対象に、本人の好みの活動や遊びを提供しているかという日常的疑問から始められた。目的は、教師に対して、その生徒が自分の好みの活動を要求でき、その選択要求を通して最終的には社会的な遊びにまで展開することとした。本研究では2つの実践から構成されている。実践1は、生徒が展示棚から特定の遊具を持ってくる訓練から始められ、次に、棚に10種類の遊具が教師により展示され、そこから生徒が遊具を1つ選択して取り出しその遊具で遊べるようにした。最終的に、生徒は自分自身で新しい遊具を展示し、そこから選択するという行動が見られるようになった。しかしその段階での選択された遊具は一人遊び用のものばかりであった。実践2は、実践1を発展させ一人遊びから教師との遊びにつながるような選択の設定を行った。その結果、二人で行う新しい遊びが生起した。