行動分析学研究
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幼稚園児の歩行行動に及ぼす称賛の効果
藤田 勉
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1995 年 8 巻 2 号 p. 151-159

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抄録
幼稚園児の歩行をオペラント行動の一つとしてとらえ, 称賛を歩行行動に随伴させることにより園児の園内歩数を増加させる手続きについて検討した.園内歩数は自由活動中の園児一人ひとりに歩数計を装着させ記録し, 称賛手続きの効果を確認するため実験デザインとしてABABデザインを用いた.ベースライン期では, 園児に対し歩数の多少に関するフィードバックは一切与えられなかったが, この期間における1分間あたりの平均歩数は男児が27.00歩, 女児が22.29歩であった.ベースライン期に続いて導入した強化期では, その日の歩数が強化基準を満たした園児の氏名が実験者またはクラス担任によって読み上げられ, 氏名を読み上げられた園児は拍手で称賛された.この期間では, 男児の1分間あたりの平均歩数は41.03歩, 女児の1分間あたりの平均歩数は27.72歩まで増加した.次に, ベースライン期における手続きを再び導入したが, 園内歩数は男児, 女児ともに激減した.しかし, 再度称賛手続きを導入すると平均歩数は回復した.幼稚園児の歩行行動をコントロールする上で本研究で用いられた手続きは有効であり, 応用行動分析の技法の有用性は本研究においても確認された.
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© 1995 一般社団法人 日本行動分析学会
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