認知行動療法研究
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実践研究
入院治療下で行った剣道の素振りとImaginal Exposure法が効果的であった強迫観念を主症状とする強迫症の一例
宮崎 哲治
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2021 年 47 巻 1 号 p. 33-45

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抄録

症例は、強迫観念を主症状とする40歳代前半の男性強迫症患者。患者は初診時、悪い人間のオーラが襲ってくるというイメージが生じ、自分も悪い人間になってしまうのではないかという不安に圧倒され、仕事にも行けなくなっていた。無念無想の境地を思い出してもらうために行った剣道の素振りにより、強迫観念に対する望ましい対処の仕方を患者が体得し、imaginal exposure法を入院中集中的に行うことにより、強迫症状の改善に至った。これまで武道やスポーツで無念夢想の境地に入るような体験をしたことがある場合、再度その体験ができるような稽古や練習を行うことによって、強迫観念に対する望ましい対処の仕方を体得することは、強迫症の治療に寄与する可能性があると思われた。筆者なりの工夫を紹介するが、強迫症に対するimaginal exposure法などの行動療法を施行する際、本論文が参考資料になれれば望外の喜びである。

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© 2021 一般社団法人日本認知・行動療法学会
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