認知行動療法研究
Online ISSN : 2433-9040
Print ISSN : 2433-9075
大学生アスリートにおける価値に沿う行動と完全主義が抑うつ症状とスポーツパフォーマンスに及ぼす影響
高山 智史佐藤 寛
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ジャーナル フリー 早期公開

論文ID: 22-020

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抄録

本研究の目的は、大学生アスリートの価値に沿う行動と完全主義が抑うつ症状とスポーツパフォーマンスに及ぼす影響を検討することであった。大学生アスリート187名を対象に、Valuing Questionnaireの「前進」尺度、多次元完全主義認知尺度の「高目標設置」尺度と「ミスへのとらわれ」尺度、日本語版自己記入式簡易抑うつ尺度(日本語版QIDS-SR)、およびスポーツパフォーマンスの自己評定への回答を求めた。共分散構造分析の結果、「ミスへのとらわれ」は抑うつ症状を強めスポーツパフォーマンスを弱める一方で「高目標設置」はスポーツパフォーマンスを高める、また「前進」はスポーツパフォーマンスを高め抑うつ症状を弱めることが示された。本研究の結果から、価値の明確化と完全主義への介入が抑うつ症状とスポーツパフォーマンスを改善する可能性が示唆された。今後は本研究で得られたモデルをさらに精緻化する必要がある。

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© 2024 一般社団法人日本認知・行動療法学会
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