論文ID: 24-009
薬物療法は行わず、侵入思考に焦点を当てた心理教育と最悪のシナリオにより、初診から約2カ月間の治療期間、4回の診察で著明に改善し、治療終了に至った加害強迫観念を主訴とする小児強迫症について報告する。患者は、10歳、女児。人を傷つけたあるいは傷つけるのではないかという加害強迫観念のため、そのようなことを考えないようにする、考えてしまったらその考えを追い出そうとする、心の中でそのようなことが起こらないように祈る、そのようなことを実際にしていないか母親に何度も聞いて大丈夫だと言ってもらわないと気が済まないといった強迫行為を認めた。侵入思考の解釈の誤りとして、「恐怖自己」と「可能性思考と行動のフュージョン」を認めた。侵入思考に焦点を当てた心理教育と最悪のシナリオなどの認知行動療法のホームワークを行ったことにより、侵入思考の誤った解釈は完全になくなり、強迫観念が生じることはなくなった。