日本臨床生理学会雑誌
Online ISSN : 2435-1695
Print ISSN : 0286-7052
総説
吸気筋トレーニングの進歩
―心不全への展開と最新のトレーニング機器―
塩谷 隆信加賀屋 勇気照井 佳乃大倉 和貴岩倉 正浩川越 厚良
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ジャーナル オープンアクセス

2022 年 52 巻 1 号 p. 11-17

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抄録

 吸気筋トレーニング(Inspiratory Muscle Training : IMT)には,呼吸筋力と呼吸筋持久力,運動耐容能,呼吸困難,健康関連QOL などの改善効果がある.現在,IMT は多くの呼吸器疾患において実施され,その効果に関して多くのエビデンスが確立されている.

 近年,IMT は心不全,ICU における呼吸管理,外科周術期,脳血管障害など呼吸器疾患以外の領域においても展開され,その効果が報告されている.

 心不全における呼吸困難のメカニズムとして,心不全の血行力学的動態による低酸素血症と心拍出量減少による吸気筋疲労が示唆されている.さらに,吸気筋メタボリフレックスも吸気筋の血流低下に深く関与している.心不全におけるIMT は呼吸筋疲労を改善し,結果として運動耐容能を向上させると考えられている.本稿では,心不全におけるIMT の有効性に関する最新のメタアナリシスを紹介するとともに,最近,開発された新規IMT デバイスとそのメカニズムと臨床応用に関して概説する.

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© 2022 日本臨床生理学会
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