生物教育
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研究論文
校庭内での植物群落の二次遷移の初期過程の観察
飯島 和子
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2000 年 41 巻 1 号 p. 9-18

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抄録

千葉県立衛生短期大学構内(千葉市)の一角に,人為的に裸地化した調査地(1m×2m)を設けて, 植物群落の二次遷移の初期過程について,約11年間,観察調査を行った.その結果,裸地化してから3年間で,植物群落と構成種が一年生草本種から多年生草本種へと移り変わる様子がみられ,裸地化10年目には,木本種個体に開花 結実があり,その定着がみられた.

今回の調査の結果から,校庭の一角に調査地を設けて裸地化を行えば,比較的短期間に,植物群落の二次遷移の初期過程の様子を観察できることが確認できた.また,調査地の設置時期をずらして裸 地化を行えば,時間とともに植物群落の構成種が移り変わった様子を同時に観察することができよう.本調査地で裸地化を行ってから3年の間に植物群落の構成種が一年生草本種から多年生草本種に移り変わることが確認できたことから,裸地は学校における生態学的学習に利用できることを示唆する.

今回得た観察調査の結果やこの種の研究は,高等学校生物における二次遷移の概念形成に価値あるものである.

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© 2000 一般社団法人 日本生物教育学会
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