2015 年 55 巻 2 号 p. 74-83
現行の高等学校学習指導要領では,遺伝分野の扱いが,それまでのメンデル遺伝を中心とした学習内容から,遺伝子とその働きを中心とした学習内容となった.しかしながら,生物の多様性などを理解するためには,遺伝子の「独立」「連鎖」「組換え」とメンデル遺伝とを関連付けて考える,メンデル遺伝についての体系的な理解が不可欠である.そこで,減数分裂,受精,染色体等について学ぶ,高校「生物」の生殖に関する項目で,キイロショウジョウバエの遺伝学で用いられている研究手法と遺伝子型の表記法を取り上げながら,3時間の授業で,「メンデル遺伝の体系的な理解」と「独立・連鎖・組換えの学習の定着」につなげる教材を開発し,その授業実践をおこなった.授業を実践した結果,実際の実験を想定させながら,課題解決型の課題について考えさせたことにより,生徒に興味関心をもってとりくませることができた.また,遺伝学の表記法を用いることで,変異についての理解を深める効果があることもわかった.