生物教育
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研究資料
アカヒレの初期発生の観察と教材的研究
向 平和大久保 聖也中村 依子日詰 雅博坂本 定生
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2018 年 60 巻 1 号 p. 2-7

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抄録

小学校第5学年理科「動物の誕生」において,教科書では,観察材料としてヒメダカ(Oryzias latipes)を提示している.メダカの初期発生は孵化までの時間が9日ほどかかるため,学習内容を満たす補助教材として,初期発生の時間が短く,飼育も容易であるアカヒレ(Tanichthys albonubes)に着目し,飼育条件,産卵条件,採卵方法を探索し,採卵した卵から初期胚の発生過程を観察して,各発生段階への経過時間を調べた.また,愛媛大学附属小学校において,採卵用水槽を用いて,児童と協力して飼育を行い,アカヒレが産卵した後,採卵した卵の観察授業や,発生の過程を確認する授業実践を行った.アカヒレは胚が透明で,メダカと比べてshield期以降の発生が速く進行した.飼育の間や授業での児童の様子から,アカヒレは生徒の興味を引きやすいようであった.アカヒレは,飼育が容易な点,短期間で様々な発生段階を観察できる点,児童の興味を引きやすい点から発生観察の補助教材として有用ではないかと考えられる.

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© 2018 一般社団法人 日本生物教育学会
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