生物教育
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研究資料
「遺伝子とその働き」の理解を目指したパフォーマンス課題の検討
内山 智枝子武村 政春
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2021 年 62 巻 2 号 p. 66-74

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抄録

近年の生命科学の急速な進歩により,高等学校学習指導要領では平成21年度の改訂から,「遺伝子とその働き」については基礎科目である「生物基礎」で学習することが求められている.しかし,高校生にとってこの理解は容易ではなく,遺伝子の発現過程に関する概念の精緻化がなされていない,複製や転写におけるDNAとRNAの役割を明確に区別できていないといった課題が報告されている.そこで本研究では,高校生が「DNAの情報に基づいてタンパク質が合成されること」を理解することを目的とし,学習内容,学習方法のみならず,学習評価まで視野に入れて検討し,米の粘り気に関与するワクシー遺伝子に着目したパフォーマンス課題を設計した.その有効性と改善点を検討するために検証授業を実施し,検証授業の前後で実施した質問紙調査の結果,「DNAがRNAに変化する」といった誤った認識の生じやすさ,センス鎖とリーディング鎖の表示方法,タンパク質と炭水化物の区別といった点で,学習者の状況に合わせて配慮が必要であることが示唆された.

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© 2021 一般社団法人 日本生物教育学会
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