2017 年 44 巻 1 号 p. 9-13
「仮想現実」 「人工現実感」 などと訳されるバーチャル・リアリティ (Virtual Reality : VR) は, 視覚や聴覚などの感覚器官に働き掛け, コンピュータによって作り出された人工環境を実質的・現実的に (virtually) 本物・現実のように知覚させる技術である. また, ヒトが直接知覚できる現実世界の対象物に対して, コンピュータ処理によって提示情報を追加・削減・変化させる技術は, 拡張現実 (Augmented Reality : AR) や複合現実 (Mixed Reality : MR) と呼ばれる. VRやARの技術を活用している分野の例としては, 医療, 健康福祉, 教育, ゲーム, 航空宇宙, 自動車, ツーリズム, 商業などがある. 本稿では, とくに民生機器レベルに到達しつつあるヘッドマウントディスプレイ (Head Mounted Display : HMD) を中心とした最近のVR・AR技術を紹介し, その臨床応用可能性について議論する端緒を作りたい.