バイオフィードバック研究
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日本バイオフィードバック学会の歴史と心拍変動に関する日本の研究
廣田 昭久
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2017 年 44 巻 2 号 p. 55-59

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抄録

 1973年10月, 日本でのバイオフィードバック研究の第1回会合が開催され, ハーバード大学のDavid Shapiro博士が日本に来て, ヒトの血圧の自己制御に関するプレゼンテーションを行いました. 会議の後, 会員数は急速に増加し, 1981年に日本バイオフィードバック学会 (JSBR) が結成されました. 医学, 工学, 心理学の3つの分野のメンバーが集まってこの学会を形成し, この学際的なコラボレーションがJSBRのユニークな特徴となっている. 多くの実験的・臨床的研究が実施されてきました. JSBRは, 1988年にバイオフィードバック技能師の認証制度を作りました. JSBRの約30人のメンバーは, これまでバイオフィードバック技能師として認定されています.

 日本では, 早期から心拍変動 (HRV) に関する研究が行われてきた. 梅沢と鈴木は, 1975年の第3回年次総会で, 呼吸数がHRVに影響を与え, 心拍数の変化はほとんどないことを示した. 1986年に稲森は 「心拍率水準および心拍率変動性に及ぼす呼吸の影響」 という論文を 「バイオフィードバック研究」 第13巻に発表した. 心拍変動に関する他の多くの研究が1980年代から行われた. 2002年の第30回JSBR年次総会では, 心拍変動バイオフィードバック (HRV-BF) が初めて紹介された. ロバート・ウッド・ジョンソン・メディカルスクールのPaul Lehrer博士がこの会議に出席し, HRV-BFについて講演しました. 講演後, 日本の研究者や臨床医はHRV-BFに関心を持ち始めました. Lehrerは2013年に第41回JSBRの年次総会に招かれ, HRV-BFに関する特別ワークショップで講演を行い, HRV-BFシンポジウムでプレゼンテーションを行いました. HRV-BFに関する基礎的メカニズムと理論の発展についてのさらなる研究が期待される.

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© 2017 日本バイオフィードバック学会
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