バイオフィードバック研究
Online ISSN : 2432-3888
Print ISSN : 0386-1856
特集
遠隔による心拍変動バイオフィードバック
榊原 雅人
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 48 巻 1 号 p. 25-32

詳細
抄録

 心拍変動バイオフィードバック (heart rate variability biofeedback : HRVB) はあるプロトコルにもとづいて心拍変動 (正常な心臓の拍動のゆらぎ) を増大させる介入法である. 心臓血管システムには共鳴を起こす性質があり, 呼吸性不整脈と圧受容体反射が重要な役割を果たしている. すなわち, 呼吸性不整脈と圧受容体反射の相乗的な効果がホメオスタシス機能を高めるように働くと考えられている. HRVBプロトコルは週1回程度の定期的なトレーニングセッションと毎日の自宅練習が提唱されている. 今日のようなコロナ禍にあって, 実験室や診療室における対面による介入は細心の注意を要するが, バイオフィードバックは元来, 情報機器を通じて生体情報を表示・調節しようとする技法であり, オンラインによる遠隔の介入も十分に可能である. 本稿ははじめにHRVBの作用機序と臨床的効果について説明し, 次に遠隔によるHRVBの可能性と倫理的側面について述べた.

著者関連情報
© 2021 日本バイオフィードバック学会
前の記事 次の記事
feedback
Top