2021 年 48 巻 1 号 p. 33-38
コロナ禍の臨床現場では今 「直接触れ合う」 ことを避ける傾向にある. 今まで通りバイオフィードバック治療/施術を行えるように, 著者らは日本バイオフィードバック学会独自の医学系・工学系・心理学系の連携を背景に, 最近日本でよく用いられるようになった遠隔webビデオ会議システムを用いた新しい形の治療法を試案した. 具体的な治療法は, 1990年代から一貫して用いている, 自律訓練法, バイオフィードバック法と呼吸法を組み合わせた方法である. 今回, 5例の冷え症の女性に遠隔治療を試みて症状改善が得られ, その結果をNHKの全国放送で発表した. 時代に応じ, 治療法にICT (Information and Communication Technology) を駆使した新しい試みだが, 治療する/される側, 発信する側/視聴する側それぞれには, 今まで以上にICTを 「適切に」 使いこなすための 「リテラシー」 が要求される. 本稿では, 「リテラシー」 に関する著者らなりの見解を示す.