行動医学研究
Online ISSN : 2188-0085
Print ISSN : 1341-6790
ISSN-L : 1341-6790
原著
認知的方略を用いた一過性運動に対する感情反応
荒井 弘和竹中 晃二岡 浩一朗
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 10 巻 2 号 p. 59-65

詳細
抄録
認知的方略は、運動に関する文献において、興味深い方略とされてきた。われわれは、2つの主要な認知的方略である、連合的方略と分離的方略に注目した。連合的方略は、課題 (運動) への集中を指し、分離的方略は、課題から注意をそむけることを意味する (Stevinson & Biddle, 1998)。競技スポーツに関する多くの文献があるにも関わらず、非競技場面で認知的方略を用いた運動を行う際の心理学的状態については、ほとんど明らかにされていない。本研究は、非競技場面において、認知的方略を用いた一過性運動の心理学的状態にもたらす効果を検討した。16名の被験者が集められ、カウンタ・バランスされた2つの条件、連合的方略条件と分離的方略条件に参加した。両方の運動条件において、被験者は中等度の強度による10分間のサイクリング運動を行った。運動前、ウォームアップ時、運動終了直後、および運動終了5分後において、被験者は、Waseda Affect Scale of Exercise and Durable Activity (WASEDA; 荒井他、2003b) とFeeling Scale (FS; Rejeski, 1985) という2つの運動固有尺度の評価を行った。分散分析は、両方の条件が高揚感、落ち着き感、および快感情を増加させることを示した。そして、分離的方略を用いた運動は、連合的方略を用いた運動と比較して、10分間の運動終了直前における快感情を増加させることを明らかにした。
著者関連情報
© 2004 日本行動医学会
次の記事
feedback
Top