行動医学研究
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原著
一過性のウォーキングに伴う感情の変化とウォーキングに伴う感情を規定する認知的要因
荒井 弘和堤 俊彦
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2007 年 13 巻 1 号 p. 6-13

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抄録

本研究の目的は、一過性のウォーキング実施時間が感情の変化に与える影響、およびウォーキングに伴う感情を規定する認知的要因について検討することであった。本研究の対象者は、大学1年生82名であった。対象者は、15分間ウォーキング群または30分間ウォーキング群に割り付けられた。ウォーキング前後の感情の測定には、運動場面専用の感情尺度であるWaseda Affect Scale of Exercise and Durable Activity(WASEDA)およびFeeling Scale(FS)を用いた。さらに、ウォーキングに伴う感情を規定する「自分自身の身体に注目すること」および「汗」という2つの連合的要因と「いっしょに運動する人」および「まわりの景色」という2つの分離的要因からなる認知的要因が準備された。本研究は、2(群)×2(時間)の対象者間・内混合要因計画である。対象者はウォーキング前後にWASEDAとFSの評価を行った。対象者はさらに、ウォーキング後に、ウォーキング中の主観的運動強度(RPE)と、ウォーキングに伴う感情を規定する認知的要因の評価を行った。ウォーキングによる感情の変化とウォーキングに伴う感情を規定する認知的要因の評価は、ウォーキングの実施時間(15分間または30分間)によって異ならなかった。また、両方の群において、「いっしょに運動する人」および「まわりの景色」という分離的要因が、ウォーキング後の感情を説明していることが示された。そのため、ウォーキング時に、連合的要因に注意を向ける方略(連合的方略)よりも、分離的要因に注意を向ける方略(分離的方略)を用いることによって、ウォーキング後の感情が好ましくなる可能性がある。。

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© 2007 日本行動医学会
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