行動医学研究
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総説
ストレス関連精神疾患とエピジェネティクス
松澤 大輔
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2016 年 22 巻 2 号 p. 57-64

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抄録

遺伝子DNAが出生後も環境と生体との相互作用によるエピジェネティックな修飾を受けて発現調節されることが注目されている。DNAメチル化はその一つであり、脳内神経細胞のDNAメチル化も様々な外部刺激により後天的に変化がもたらされる。近年では精神疾患においてもその影響を示唆する研究が相次いでいるが、不安や恐怖の記憶が症状に関わるストレス関連精神疾患ではエピジェネティックな現象の関与について現在でも知見が少ない。本稿では、ストレス関連精神疾患で発症脆弱性や治療抵抗性を示す背景としてのDNAメチル化の関与を、筆者の教室で得られた結果を紹介しながら論じたい。精神疾患におけるエピジェネティックな機構は、ストレス応答の変化など獲得した行動の次世代への継承にも役割を果たしている可能性もあり、今後の研究結果の蓄積が待たれている。

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