行動医学研究
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原著
大学生における精神神経内分泌免疫学的反応と 主観的健康感に対するeudaimonic well-being とhedonic well-beingの分化的関連性
三原 健吾岡村 尚昌矢島 潤平津田 彰
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2019 年 24 巻 2 号 p. 84-

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抄録
本研究は、2タイプのwell-being(hedonic、eudaimonic)と心身の健康との分化的関連性を明らかにするため に、質問紙による主観的健康感の評定と唾液中精神神経内分泌免疫学的(PNEI)反応による客観的評価から、well-beingのタ イプによって心身のストレスの自覚とノルアドレナリン神経系、内分泌系、免疫系の活性がどのように異なるのか検討した。研究参 加の同意が得られた健康な大学生109名(男性49名、女性60名)を対象とした。講義時に、eudaimonic well-being[心理的 well-being尺度(PWBS)によって評価]、hedonic well-being(日本語版 Positive and Negative Affect Scheduleと人生に 対する満足感尺度によって評価)、主観的健康感(GHQ−28)、健康行動(飲酒、喫煙、運動)からなる質問紙セットへの記入を 求めるとともに、PNEI反応[free 3−methoxy−4−hydroxyphenylglycol(MHPG)含有量、分泌型免疫グロブリンA(s−IgA) 抗体産生量、コルチゾール分泌量]を測定するために唾液の採取を行った。重回帰分析の結果から、心身のストレス反応及び Quality Of Lifeの重要な影響要因と目されているネガティブ感情、性別、BMI、健康行動とは独立して、PWBS得点が高い個人ほ ど唾液中のfree−MHPG含有量、コルチゾール分泌量、GHQ−28総得点が低値であることが示された。一方で、hedonic wellbeing とPNEI反応との関連は認められなかった。これらの結果から、hedonic well-beingと比較しeudaimonic well-beingの方 がより直接的にノルアドレナリン神経系、内分泌系を介して心身の健康に関わっていることが示唆された。
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