2024 年 29 巻 2 号 p. 69-76
成人2型糖尿病患者の食事アドヒアランスに着目して、心理的問題(Diabetes Distress:DD及び抑うつ症状)と血糖コントロールとの関連性を検討した。K大学病院糖尿病センターに通院中の患者118名(平均年齢63.5歳)に、横断的研究で糖尿病問題領域質問票(PAID日本語版)と自己評価抑うつ症状尺度(CES-D)、食事療法遵守度尺度への回答を求めるとともにHbA1cを測定した。DDとHbA1cの関連性について、食事アドヒアランスを介した媒介分析を行った。DDと食事アドヒアランスとの間に有意な負の関連が示されたが、食事アドヒアランスとHbA1cとの関連は有意ではなく、間接効果は認められなかった。一方で、DDはHbA1cに対して有意な正の直接効果を示した。また、抑うつ症状とHbA1cとの関連性についても同様の媒介分析を行った結果、抑うつ症状と食事アドヒアランスとの間に有意な負の関連が示されたが、食事アドヒアランスとHbA1cとの関連は有意ではなかった。さらに、抑うつ症状からHbA1cに対する直接効果は確認されなかった。これらの知見は、食事アドヒアランスがDDと抑うつ症状の双方と関連している可能性と、血糖コントロールと心理的問題との関連がDDと抑うつ症状とで異なることを示唆する。