抄録
喫煙習慣と心臓血管系ストレス反応性との関連性について明らかにするために、メンタルストレス・テストとしてRaven'sマトリックス認知課題テストを負荷した時の健康な男子成人の非喫煙者 (N=16) と一晩禁煙者 (N=14)、30分前喫煙者 (N=17) の心臓血管系ストレス反応性と情動反応を比較した。一晩禁煙群は、非喫煙群および30分前喫煙群の被験者より、ストレス負荷前の安静時拡張期血圧は有意に低かったが、メンタルストレス・テストに対する変化は有意に大きく、かつ情動反応も著明であった。30分前喫煙群の心拍数はストレス負荷前ならびに負荷中、負荷後のいずれかで、非喫煙群および一晩禁煙群よりも有意に高値を示したが、血圧の変化には群間差がなかった。一晩禁煙群の遂行成績は30分前喫煙群より有意に悪く、喫煙欲求もまた強かった。2つの喫煙群ではまた、ストレス負荷によって生じた不快な気分がストレス負荷終了後も遷延した。今回の知見より、喫煙習慣によって心臓血管系ストレス反応性が異なること、これら血圧や心拍数の変化は喫煙習慣を有する被験者の実験前の喫煙状態に依存することが明らかとなった。喫煙とストレス反応性と心臓血管系疾患の発症危険性との関連性について考察した。