行動療法研究
Online ISSN : 2424-2594
Print ISSN : 0910-6529
観念失行症患者の系列行為の再学習に対する認知的行動療法
佐々木 和義
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 14 巻 1 号 p. 31-37

詳細
抄録
系列行為には失敗するが,その要素的行動は十分に行える42歳の観念失行症患者に,9系列行為の要素的行動を撮った写真を提示し,それを継時的に配列することを学習させて,系列行為の正しい実行を生起させることを試みた。訓練変数は,正反応に随伴させた社会的刺激(うなつく,ほほえむ,「そうですね」と言う)と,誤反応と著しい反応停止とに随伴させた正配列の提示とであった。効果判定のために,行動間のマルチプルベースライン計画を用いた。その結果,訓練変数は配列の学習に有効であり,その学習は当該系列行為の実行に効果をもち,さらに訓練した行為の増加につれて,他の行為への般化も認められた。
著者関連情報
© 1988 一般社団法人 日本認知・行動療法学会
前の記事
feedback
Top