抄録
系列行為には失敗するが,その要素的行動は十分に行える42歳の観念失行症患者に,9系列行為の要素的行動を撮った写真を提示し,それを継時的に配列することを学習させて,系列行為の正しい実行を生起させることを試みた。訓練変数は,正反応に随伴させた社会的刺激(うなつく,ほほえむ,「そうですね」と言う)と,誤反応と著しい反応停止とに随伴させた正配列の提示とであった。効果判定のために,行動間のマルチプルベースライン計画を用いた。その結果,訓練変数は配列の学習に有効であり,その学習は当該系列行為の実行に効果をもち,さらに訓練した行為の増加につれて,他の行為への般化も認められた。